刊行物:『交通権憲章 ―21世紀の豊かな交通への提言』
交通権学会編
日本経済評論社(1999年7月) 日本経済評論社のサイト
ISBN:4-8188-1077-0
B5判 175ページ
本体2,500円
目次
- 「交通権憲章」の実現を目指して (片岡曻)
- 交通権学会の15年 (安部誠治)
- 交通権憲章の構成 (日比野正己)
- 第1部 交通権憲章の提案
- 第1章 交通権憲章(1998年版) (交通権憲章作成委員会)
- 第2章 交通権憲章の意義 (原田勝正)
- 移動・運搬そして輸送/交通権の志向/交通権の拡大と阻害/交通権憲章の意義
- 第3章 交通権憲章と憲法 (岡崎勝彦)
- 交通権/憲法上の交通権/交通権の「権利性」/交通権憲章の具体的権利性
- 第2部 交通権憲章の実現
- 1 平等性の原則
- 第1章 障害者・高齢者らの交通権 (馬場清)
- 生活圏拡大運動と交通権/欧米の交通権思想/90年代の障害者・高齢者の移動・交通権/交通権の平等性に関わる課題
- コラム 『障害児教育大事典』のなかの交通権
- コラム 『経済辞典(第3版)』のなかの交通権
- 第2章 交通の過密・過疎 (土居靖範)
- モータリゼーションと交通権の侵害/交通の過密地における交通権/交通の過疎地における交通権の阻害状況/乗合バス事業の規制緩和がもたらすもの
- 第3章 家計・消費行動 (金持伸子)
- 車社会の浸透/所得水準の上昇でマイカーは増える/マイカー普及の矛盾/家計のなかでの自動車費用の増加/家計費の中での「せめぎあい」/厳しい地方の住民の「足」の確保/移動の平等性を高める試み
- 2 安全性の確保
- 第1章 安全性と交通権 (杉田聡)
- 第2章 鉄道事故と安全性 (佐藤健宗)
- 鉄道の事故をめぐる状況/交通権、安全、事故調査/事故調査の目的と手続き/わが国の事故調査制度の現状/事故調査制度の改革へ向けて
- 第3章 海上交通と安全性 (柴田悦子)
- 海と共にある生活/海上レジャーをめぐる安全性/湾内事故と強制水先制度の緩和/大型船事故とポート・ステート・コントロール/「海の安全性」を脅かす「新ガイドライン関連法案」
- 第4章 飛行機事故と航空管制 (熊谷俊介)
- ジェット化に伴う空港の整備/相次ぐ航空機事故の発生/雫石事故とシステムの変化/「空港整備計画」の生い立ち/課題山積の次世代航空保安体制
- 3 利便性の確保
- 第1章 交通技術 (小山徹)
- 交通具と交通路の結びつき/交通技術とエネルギー、空間、環境の問題/公共の軌道系交通と「つなぐ」技術による交通権の保障/レールと車輪/ルールと交通権
- 第2章 交通システム (藤井憲男)
- 仮想通学体験/何が問題なのか/移動の連続性を確保するには/運賃の連続性の確保/個々の問題/システム化ということ/これからに向けて
- 第3章 交通サービス (近藤宏一)
- 4 文化性の確保
- 第1章 サイクリング (渡辺千賀恵)
- 生活に密着した乗り物/自転車の多様な特長/社会的ムードの移り変わり/自転車文化の未成熟さ/本当に「誰でも乗れる」?/子供たちには年齢制限/地球環境問題が追い風に/「のんびり交通」という思想/国内各地の工夫例/合意づくりと連携が大切
- 第2章 「障害者」の旅を阻むもの、支えるもの (もりすぐる)
- 旅の効果/「障害者」の旅を阻むもの/旅の要素について/旅行業における取り組み/「旅の権利」の確立に向けて
- コラム 障害者旅行の哲学
- 第3章 自由時間行動と交通 (安部誠治)
- 余暇活動と交通/旅と交通機関
- コラム レジャー憲章
- 5 環境保全の尊重
- 第1章 自動車依存からの転換 (多田正)
- 交通権の要素と技術的な手段/交通とエネルギー消費/交通と環境汚染/貨物輸送と自動車依存/道路と自動車の関係
- 第2章 海外先進事例 (青木真美)
- 公共交通に関する基本的な考え方/公共交通と私的交通の調整/道路交通の需要調整(TDM)
- 6 整合性の尊重
- 第1章 国土計画・都市計画と交通 (森田優己)
- 国土計画とは/開発優先の国土計画/国土開発の戦略手段としての交通/国土計画と都市計画との「整合性」/都市計画の理念と交通
- 第2章 まちづくりと交通(京都市) (土居靖範)
- まちづくりと交通整備の整合性はきわめて重要/京都市はどうか/「都市高速道路建設」問題/私たちの提案
- 第3章 歩行者重視のまちづくり (多田正)
- 都市と「クルマ」/先駆的な事例/最近の傾向/愛知県三好町の事例/三鷹市コミュニティゾーン
- 7 国際性の尊重
- 第1章 交通権思想の源流と先駆 (日比野正己)
- 『マイカー亡国論』が交通権思想の古典/交通権憲章の萌芽的概念/湯川理論の継承と発展/都市構造の自動車化に関する研究』の国際的業績
- 第2章 都市構造の自動車化過程の評価 (湯川利和)
- 計画的都市建設の方法/自動車化過程推進の方法/むすび
- 第3章 交通体系・都市構造の目標像と目標達成手段の原則(提言) (湯川利和)
- 交通体系/都市構造/目標達成手段/都市計画政策転換の緊急性
- コラム 学と術の結合を提唱 ―湯川利和氏を悼む
- 8 行政の責務
- 第1章 行政の責務 (櫻井徹)
- 第8条を構成する3つの項目/国民の交通権の発展と交通政策の転換の必要性/自由競争原理に基づく交通政策/自由競争原理に基づく交通政策の問題点/ヨーロッパの交通政策の特徴/国民の交通権の発展と情報公開/国民の交通権の発展と国民の政策決定への参画
- 第2章 交通社会資本整備と行政 (橋本了一)
- アダム・スミスの『国富論』における国家の役割と責任/社会資本、特に交通にかかわる社会資本の現代的な意味/歴史的傾向-モータリゼイション偏重と道路建設/規制緩和と民営化の問題/国・中央政府と地方自治体の責任分担の変更-地方分権/社会交通資本整備の財政/地方分権と地域住民の参加
- コラム 持続可能な交通の9つの基本原則
- 9 交通事業者の責務
- 第1章 交通産業と交通労働者の責務 (前田達男)
- 交通産業の特質と公共性/交通労働の特徴/交通産業・交通労働者の責務
- 10 国民の責務
- 第1章 国民の責務 (岡本浩)
- 権利享受のための権利者の義務/交通権確立を求める和歌山線沿線住民のたたかい/交通権確立に向けてのこれからの国民の責務
- コラム 和歌山線格差運賃返還請求事件を終結するに当たっての声明
- 11 交通基本法の制定
- 第1章 憲章と政策と法律~21世紀の交通の姿とそれへの接近 (山火武津夫)
- 交通権憲章について/交通基本法について/政策について
- 第3部 交通権の世界的動向
- 第1章 海外の動向と交通権運動 (多田正)
- 交通権の国際的位置づけ/国際的な連携/海外の交通権運動の分類/エネルギー・環境汚染から/居住・移転などの権利に関する団体/交通事故・交通公害の団体/「クルマ削減の教材セット」の活動
- 第2章 フランスの国内交通基本法と交通権の漸進的実現 (安部誠治)
- フランスの国内交通基本法/交通権の導入/公共交通の充実による交通権の漸進的実現/地方公共団体と生活交通
- コラム 交通権憲章(フランス語)
- 第3章 アメリカのADA法と脱クルマの動向 (西村弘)
- 高齢者・障害者のモビリティとADA/アメリカの公共交通/アメリカにおける脱クルマの動向/ADA以後の「脱クルマ」の課題
- コラム 交通権憲章(英語)
- 第4章 韓国の交通問題の現状と「緑色交通運動」~持続可能なグリーンな交通、緑の都市をめざして (閔萬基、訳:林恩姫)
- 韓国の交通の現状/「緑色交通運動」とその運動/21世紀の「緑色交通運動」
- コラム 交通権憲章(韓国語)
- コラム 交通権憲章(ドイツ語)
- 資料編
- 交通権関連の文献リスト (土居靖範)
- 交通権関連のホームページ (近藤宏一)
- 「歩行者の権利に関する欧州憲章」 (訳:多田正)
- ソウル特別市の歩行権確保と歩行環境改善に関する基本条例 (訳:林恩姫)
- 交通権学会と私 (佐々原猛夫)
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