交通権学会は、交通を権利として探究する学際的・実践的な学会であり、1986年に誕生しました。交通権の思想は、重度障害者らの「私も外へ出たい」という移動・交通保障、私的モータリゼーション政策への批判といった1970年代の先駆的研究と運動の成果を継承しながら、とりわけ1980年代の「国鉄の分割・民営化問題」への理論的探究から生まれました。
交通権学会の発足以来、わが国初の交通権訴訟である「和歌山線格差運賃返還請求事件訴訟」をはじめ、国民の交通権をめぐる種々の課題に取り組むとともに、「21世紀の交通像」を視野にいれた「交通権憲章」草案を検討してきました。
現在、会員およそ250人を有し、年1回の研究大会や、地域ごとの部会活動を中心に、交通権・交通問題の研究と、その成果の普及および会員の協力を活動の内容としています。実践的学会の特徴として、会員は、人文・社会・自然の諸科学の研究者にとどまらず、交通労働者・企業人・学生など、広範囲にわたっており、どなたでも入会できます。
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